《MUMEI》
出会い
 そこに居たのは――女の子。見た感じ小学校低学年って感じだ。

 少女は、俺と目が合いニコっと微笑む。笑った時に八重歯が顔を覗かせる。

 しかし、俺は無反応。というよりどう反応していいかが分からない。

 すると少女は、ピトリと俺の足に抱きつき俺を見上げる。クリクリの大きな漆黒の瞳に長いまつげの存在感が白い肌にベストマッチだ。

 俺は自然と少女に目の高さを合わせ、少女のふわふわの頭をポンポンと軽く撫でた。

 すると少女は、先程の笑顔とはまた別格の満面の笑みを見せた。

「じゃあね」っと言い俺がその場を離れようと立ち上がると、少女はまたぎゅっと俺のズボンを掴んだ。

 俺は、ゆっくりと少女の手をズボンから放し、歩きだす。

 すると、少女は
「お兄ちゃん置いてかないで〜!」っと泣き出してしまった。

 夜とはいえお客は居るわけで――俺たちを兄妹だと勘違いしたのか、おばさんが怪訝そうな顔で俺を見てくる。他のお客の視線も痛い。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫