《MUMEI》
援護
千夏のお目当ての彼は、そこそこのスーツが似合うイケメンだった。


「ちなつぅ〜、彼、カッコいいじゃない!!」


美幸が男性陣にバレないように千夏をひやかす。


「しっ!聞こえたらどうするのよ」


今日のコンパ、どうやら千夏は気合いが入っているようで、小さな粗相も許されない雰囲気だ。




「愛加ちゃんは仕事何してるの?」


右隣に座っている、ちょっとチャラそうな佐久間謙二に声をかけられた。


「某不動産屋の賃貸事業部で働いてます」


「じゃ、マンションとか詳しいんだ」


「まぁ…担当地域なら」


そんな私たちの会話を聞いたのか、千夏のお目当ての彼、高橋さんが会話に入ってくる。


「俺、ちょうど引越しを考えてたんだ!もし良い物件があったら教えてよ」


「高橋さん引越しするんですか?」


千夏もすかさず会話に飛び込んでくる。


「今は学生時代から住んでるワンルームだから、もう少し広いところに行きたいなって思ってたんだ」


「学生時代からってことは7年も!?」


千夏は高橋さんの言葉を拾い会話を続ける。


「良かったらお店に来てください。その方が具体的に説明できるし。あ、お店の場所は千夏が知ってるので一緒に来るといいかも」


言った後、千夏にウインク。
千夏も感謝の合図を送ってくる。

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