《MUMEI》 離さない「だめよ」 私の言葉に、神君がショックを受けているのがわかった。 「そうよね。 行きましょう…ゆき?」 神音様が、私達を見て驚いた。 私の手が、神君の手を掴んでいたから。 「…ゆき?」 うつ向いていた神君が、顔を上げた。 「駄目よ…離さない。 別れの挨拶なんて許さない あなたは、私の側にいるんでしょう?」 私の言葉に、神君と神音様が同時に目を丸くし、言葉を失った。 「な…に、言ってるの? 離れなさい! ゆき」 最初に口を開いたのは神音様だった。 「いいえ、神音様。 彼は自分が、晶の、私の剣の分身の代わりだと言いました。 だったら、共に行くのが当たり前です」 「だって、その男は…」 「彼と交わっても私の力は消えませんでした。 きっと…私はそういう者なのです」 『この子は、大物になる』 きっと、初夢でそう言ったのは、私の母で、神音様の姉の神那だと思った。 御剣の『守護神』と御鏡の『守護神』の間に生まれた私は、御剣では異質な存在だった。 それと同じように、御鏡の力も、私の力はきっと異質なのではないかと、私は思った。 (それに…) 前へ |次へ |
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