《MUMEI》
キキ
 俺は、静かにため息をつき少女の元へ向かう。

 少女の目の前まで行くとしゃがんで少女の頭を撫でる。

 すると少女の泣き顔はみるみるうちに笑顔へと変わった。

 少女は、ぐるりと俺の周りを一周し次の瞬間には、俺の背中に飛び乗っていた。

 さっきまでの痛い視線は暖かい視線へと変わっている。

 俺は、少女をおぶったまま会計を済ませ、店から出た。

 そして少女に問いかける。

「お前、親は?今頃心配してるぞ」

 少女はハキハキと答える。

「お前じゃないよ〜だ。私の名前はキキ!お母さんもお父さんもこの世界には居ないよ」

 この世界には居ない?……何か悪いこと聞いちまったな。俺はその話題にはもう触れず新たな質問をする。

「家まで送るよ。家どこ?」

「家なんてないよ!」

 その一言に俺はキキを背中から下ろし、目を見つめる。嘘をついているようには見えない。

 家がない……?親戚も居ないのか?帰る家がないのにここに1人残して帰る訳にもいかないし。

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