《MUMEI》 二人の様子を見ていた私は、理解した。 この御剣の中で、『神様』だけが唯一神君の味方だった事に。 私には晶がいた。 しかし、私を育ててくれたのは義母であり、親しくしてくれたのは汐里であり、世話をしてくれたのは紗己さんや美幸さんであった。 私は、晶以外の人達にも、愛されていた。 しかし、神君にとっては 『神様』は 『姫』は 母であり 姉であり 恋人であり 世話役であり 理解者であり 全ての愛情を注いでくれた存在だったのだろう。 だからこそ、二人の絆はこんなにも強い。 神君は、ひたすら自分の幸せを願い、頭を下げ続ける『神様』の姿を黙って見つめていたが… 「もういい。 …いいんだ。 お前の気持ちはわかったから。 …ありがとう。 これからは、御剣と、翔子と、子供の幸せを祈ってくれ。 それから… お前自身も幸せになれ。 …いいな? 命令だ、これは」 私の手を握ったまま、震える声で、『神様』に 『最後の命令』 をした。 「しかし…」 神音様が何も言わないので、『神様』はその場を動かなかった。 神音様は大きくため息をついた。 前へ |次へ |
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