《MUMEI》

「テメー!」

七生は勢いよく立ち上がる。
キスを止めた乙矢は素早く俺達の真下にいる七生が入れるくらいの空間を作った。

計算したかのようにぴったり七生は収まる。

「おとやぁ、テメー前からウザイと思ってたけど今回はもう我慢出来ねぇ」

七生が乙矢とガン付け合ってる。
酔っ払い同士の喧嘩ほど面倒なものはない。

「無能な奴ほどよく吠える」
煽るな乙矢!

「えーぞ、いてまえー」

周りも煽るな!
七生にしがみつく。

「七生、止めてよ?此処で手を出したら七生の負けなんだからな?!」

七生は唸りながらかなり暴れたがっている。

「……ウ〜〜……ッ……」

大人しくなった。偉いよく堪えた七生。

「じろーのこと許さないからな覚えてやがれ」

酔っ払いだけど俺の心配してくれてたんだ……。

「なんだ、じゃあこれでチャラー」

信じられない……乙矢があんなに犬猿の仲であった七生にキスをした……!

「じろーの間接チューだ、有り難ろう?」

乙矢は尋常でない酔いの廻りらしい。

後ろからでも七生の衝撃は伝わる。

「ぅおえぇぇぇ!」

そして足元から崩れ落ちそのまま吐き出した。
……無理も無いか。

七生が戻したことでプチ・パニックが起こる。

乙矢は平然と新しい酒を開けた。

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