《MUMEI》
世界のマニュアル
神さまは、一週間で世界を造った。
最初は光を。
そして、大地にそら、海を造る。
山や川、植物や動物に魚と鳥。
多分ちょっとした気まぐれで人間も造った。
それが日曜から金曜まで。
土曜日には休憩をした。
そりゃあ、神様さまだって休まなきゃあね。だって人間みたいにへんてこで、うんざりするような生き物まで造ったんですもの。

でも、わたしは知っている。
神さまは休んでなんかいなかった。
彼は、土曜日に本を書いていた。
その本はこういう名がつけられている。

「土曜日の本」

それは、世界の取り扱い説明書。
物を造ったんだから、もちろんマニュアルを書かなきゃね。
携帯電話にだってあるでしょう。本体の倍以上に大きいマニュアルが。
誰も読んではいないでしょうけれど。
マニュアルなんてなくても携帯電話を使えるように、世界のマニュアルを読まなくてももちろん生きていける。

でもね。

読めば色々なことが判るようになるし、色々なことができるようになる。
わたしは、読んだ。
そして、世界を学んだの。
だから。
だからこうして。

あなたに話すことができる。
あなたの一部となることができる。

あなたと、ひとつになることができる。

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