《MUMEI》
二週間前のこと
お気に入りの後輩がいる。
それはそれはちみっちゃくて礼儀正しく、カワイイ。

まあ、カワイイ。

取り敢えず、カワイイ。

知り合うきっかけは部活の後輩を部室前で毎日待っているチビがいてつい、入れたくなった。
小犬が主人を待つようで健気だった。

「待ってるんだろ?いいよ、部室入って待ってても。名前は?」

「鬼久保弥一です」

その、名前と外見のギャップも気に入った。

「そーか、ヤイちゃんか!」

それがヤイちゃんと知り合うきっかけだった。





ヤイちゃんは屈託無く笑いかけてくれる。今時珍しい純粋培養の少年だ。

「ヤイちゃんヤイちゃん、イカってフランス語で何て言うか知ってるか?」

「知りません」

「アシジュポーンって言うんだよ」

「へぇー」

一生懸命に頷いてくれる。
暫く放置したかったのに周りが吹いて嘘がバレた。

「卜部先輩!!」

逃げたら必ず後を追いかけてくる。嗚呼、ヤイちゃんてばカワイイ。

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