《MUMEI》 強引な誘いカラオケを出てから、店の前で解散となった。 「高橋さん!一緒にタクシーで帰りましょうよ〜」 千夏が積極的に誘う。 「おぅ!越智も同じ方向だし三人でタクるか」 千夏の企みは中途半端に達成されたが、一緒に帰るだけでも千夏は嬉しそうだった。 「じゃぁ、私も帰るね」 佐久間さんが私を狙っていると宣言したので、美幸が気を使って一人で帰ってしまった。 「二人で取り残されちゃったね……せっかくだし、もう一軒行く?」 佐久間がここぞとばかりに誘ってくる。 「ごめんなさい…私、明日も仕事なんです」 どうせ家に帰っても一人で寂しいだけだし、本当は私も行きたかったけれど渋々断わった。 「一杯だけでもダメ?」 佐久間はお酒を飲んでいるせいか、少し強引になっている。 「お願い!もう少し一緒にいたいんだ」 そこまで言われると、人肌恋しい私は誘惑に負けてしまった。 「じゃぁ…もう一軒だけですよ」 前へ |次へ |
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