《MUMEI》

「ですから、神音様に教わりながら、仕事に取り組みたいと思います。

そして、外での経験を、御鏡と、…この国を守る為に活かしていきたいと考えております。

未熟者の私ですが、どうか、皆様、よろしくお願い致します」


そして、私はゆっくりと頭を下げた。


元々母・神那に瓜二つな私を、周囲は温かく迎えてくれた。


問題は…


「あの、…ところで」


(来た)


後方に座っていた、おそらく最年少の少女が私に質問した。


「どうして、御剣の当主様がこちらに?」


―と。


「「それは…」」


私と神君はそこまで言って、同時に止まった。


(どう説明すればいいんだろう?)


お互い、一緒にいたくてここまで来たけれど…


『離れたくなくて来た』


とは、言いづらかった。


私が返事に困っていると、周囲がざわつき始めた。


「静かにしなさい」


皆を一瞬で静めたのは


神音様だった。


「彼は、ゆきの婚約者です」


神音様の言葉に、周囲がまたざわめき始めた。


「ずっと一緒にいると言うことは、そういう事でしょう?

当主として、きちんと説明しなさい」

神音様は小声で私に言った。

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