《MUMEI》

「今から説明します」


神音様に促され、私は話し始めた。


私と神君が、互いに愛し合っている事

神君と交わっても、私の力が消えない事

御剣の新たな当主から、許可は得ている事


「しかし…」


「御剣と御鏡の間に生まれる子供は、きっとゆきのように、新たな力を授かるでしょう。

それは、御鏡にとっても、国を守るという意味でも、いい事だと私は思うわ」


年配の女性が反論しようとした時、神音様が口を開いた。


「神音様がそうおっしゃるのなら…」


それ以降、反対する者は現れなかった。


「あなたも、挨拶しなさい」


神音様に促され、神君は戸惑いつつも口を開いた。


「俺、いや、私は、もう御剣の当主ではありません。
今の私には、御剣の力もありません。

私は、ゆきを守り、支え、愛する為だけに存在する、ただの男です。

皆様も、そのように私に接して下さい。

ゆき同様、これからよろしくお願い致します」


そして、神君も私と同じように、頭を下げた。


周囲はそんな神君に戸惑いの色を浮かべつつも、彼が御鏡の一員になる事を受け入れた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫