《MUMEI》

「まだ…実感がわかない。
あなたが…私を」


「愛してる」


「…っ…」


耳元で囁かれて、私の体が震えた。


「何度だって言ってやる。
愛してる

愛してる

愛してる…」


「も、もういい! わかったから!」


これ以上は


私の心臓がもちそうもなかった。


「お前は?」


「え?」


神君の表情は真剣そのものだった。


「お前の口から、気持ちを聞いていない。

聞かせてくれ」


「あのね…」


私は、少しずつ話し始めた。


最初見た時は、顔も見えないほど、霞んでいて、驚いた事。


私を見て『桜色』になったのを見間違いだと思った事。


それから『赤』になって、いつも怒っているなと思った事。


それから…


「恐かったのよ? 本当に。
ものって言われて、悲しかった」


「あの時は、…すまなかった。

知らなかったんだ。

本当に、俺を嫌がる女なんていないって…

馬鹿だった」


神君が私の頬にそっと触れた。


「今も…恐いか?」


私は、首を横に振った。


「この手は、私を守ってくれてた手だもの。

…でも、まだ、この先は恐いかな」


「嫌なら、…無理しなくていい」

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