《MUMEI》
復活
「おい、…ゆき?」


神が気付いた時、ゆきは眠っていた。


今日はただでさえ疲れていたのに、無理をさせたかと思う反面、神は『まだ足りない』と思っていた。


やっと想いが通じた。


晶ではなく、自分を見てくれた。


好きだと愛してると…


ゆきの口から言ってもらえた。


神は、確認するように、ゆきの唇を指でなぞった。


そのまま、唇を重ねる。


ゆきの体がピクリと反応した。


「ゆき…」


まだまだ体力が余っている神は、もう一度ゆきと繋がりたかった。


正直な話、いつまでもこうしていたいと神は思っていた。


その時


「いい加減にせんか!」


バシッ!


神は突然後頭部を殴られた。


「誰だ!」


振り返った神が見たのは―

「儂じゃよ」


空中に浮かぶ金色の狐


「鳴神?!」


「静かにせんか」


言われて神は慌てて口を押さえた。


それから、ゆきに布団をかけ、自分の浴衣を着込んだ。


「何故お前が…

消えたんじゃなかったのか?」


「別れの挨拶をした覚えは無いが」


「普通、あの流れなら消えたと思うだろう」


「お前のお陰で生き長らえたわい」

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