《MUMEI》

「どういう事だ?」


全く心当たりの無い神は、首を傾げた。


『生き長らえた』


その言葉通り、目の前の鳴神は、小さくなるどころか、大きくなっており、生命力に溢れて見えた。


「正しくは、『お前と姫』のお陰じゃな」


「だから、どういう…」


「相変わらず鈍い男じゃのう。儂等、剣の分身の力の源は何じゃ?」


「あ? 主の生気だろう?」

「お前が今は儂等の主じゃが、主の生気以外に、儂等を強くするものがあるじゃろう?

姫は、何者じゃったかのう?」


その言葉に、神はハッとした。


まさか


「俺が、ゆきと交わったからか?」


「やっと気付いたか」


鳴神は、笑いながら続けた。


「その様子では、まだ気付いておらぬようじゃの」


「まだ何かあるのか」


ゆきとの甘い時間を邪魔された神は、鳴神を睨んだ。

「お前、鈍いのう」


「だから、何の事だ」


神は極力感情を抑えながら、鳴神を睨んだ。


「復活したのは儂だけではないという事じゃ」


神の顔から


血の気が引いた。


慌てて、神は周囲を見渡した。


「『あいつ』は、どこにいる」

「やれやれ。相変わらずじゃのう」

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