《MUMEI》

神は、鳴神を掴んだ。


「こ、これ!
年寄りは労らんか!」


「うるさい!

あいつは…



晶はどこだ!」


「うるさいのはお前じゃ」

鳴神は金色に光った。


「うわぁ!」


神は鳴神の雷に感電した。

「手加減はしたぞ」


その言葉通り、神は痙攣や気絶はしなかった。


「まったく。相変わらずじゃな。

お前は、あの若造が絡むと、余裕が無くなる」

「当たり前だろう」


ゆきがどれだけ晶を信頼しているか、神はよく知っていた。


いつも一緒にいるゆきと晶の姿に、神は何度も嫉妬した。


その晶が、復活したと言われて、神は冷静でいられるはずがなかった。


「どこだ、晶!」


実体化した鳴神と違い、姿の見えない晶に、神は焦っていた。


「やれやれ」


鳴神は、神に掴まれ、乱れた毛並を整えながら、その様子を見ていた。


「あともう少し、精気があれば、若造は、晶は実体化出来た。

じゃが、晶もお前と同じで、余裕が無かったらしい。
…ずっと、すねていたからのう。

お前の中で、姫に何もしてやれないと。

じゃから、夢の中でもお前に固くなに会おうとはしなかった」


『晶の実体化』

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