《MUMEI》
思わぬ展開。
『お疲れさまでした。』



…あぁ〜やっとバイト終わったよ〜。
今日の朝、バイク取りに行けなかったから今から憐の店に取りに行こうかなぁ?

でも…
憐のこと意識しだしてから行きにくいなぁ…。




バイクが1人で帰ってきてくれないかなぁ…。



とりあえず眠いし、一回寝てから考えよ…。



歩くとマンションまで何分かかるんだろ?




はぁ〜疲れた。
バイクで15分なのに歩くと遠っ…。やっと着いたよ。



ん?




ん?ん?




マンションの駐車場には見慣れたバイクが置いてあった。



私のバイクじゃん。

え?なんで?

昨日、憐の店に置いてきたのに。



ちょっ、ちょっと待って。なんで?


って鍵ないし…。


バイクあっても乗れないじゃん。

どうすんの?

っていうか誰がここに?





“憐だ!”




私は急いで憐に電話した。


『…はい。』



憐の声は明らかに寝起きだった。




『もしもし、憐?
 私。瑠伊だけど…。』



『…うん。何?なんで慌ててんの?』




『そりゃ慌てるよ。ゴホッゴホッ。憐でしょ?私のバイクマンションまで持ってきたの。』




『あぁ〜俺。』




焦った私は凄い質問攻めをしてしまった…。



『なんで私のマンション知ってんの?
いつ持ってきたの?
ってか鍵は?
なんで持ってんの?
今どこにあんの?』





『…なぁ。ちょっと落ち着かねぇ?』




『あっ。ゴメン。ビックリして興奮しちゃった…。』




『悪りぃ。俺、バイク置きに行って鍵持って帰ってきちまったみたいだわ。』




『…持って帰った?』



『おう。マジ悪い。今日、俺、店休みだから今から持ってくな。』




『いいよ。そんなの悪いし。憐、寝てたんでしょ?また明日、店に取りにいくから。』




『…でもお前、明日仕事行くのにバイクねぇと困んじゃねぇの?』



うっ…。たしかに今日の行き帰り、歩いただけで足パンパンなんだよな。



『わかった。じゃ私が取りに行くよ。憐、今どこにいるの?』



『…いや。寝てたんだから家だけど。』




『……。あ〜。そっか…寝てたんだもんね。家に決まってんじゃん。私、何言ってるんだろ…。ゴメンゴメン。憐の家知らないから行けないや。やっぱ明日にするね〜。』




『…俺んち店の2階。』




『え?』




『…だから俺、住み込みだから。2階が家。』




『…あっ。そうだったんだ〜全然知らなかった。…わかった。じゃ今から行くね。…待ってて。ゴメンね。じゃまた後で。』





………。
えー!?……私…今、憐の家に行くって言った?
焦って何話したか覚えてないよ…。
いや。たしかに行くって言った。




行くんだ。私、憐の家に!

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