《MUMEI》 キスの練習環は流理から出るとは思ってもみなかった言葉に目が丸くなった。言葉を失い、呆然とする。 「あ……あの?」 流理の呼び掛けにしばらく自分が黙っていたことに気付く。 「あの…で、でも」 「オレ……今まで一度もその…キ、キスとかしたことなくて………だからその、唇…合わせたりしませんから……」 そこで環はようやく気付いた。 話す流理の顔は汗をかき、真っ赤であることに。 一一怖がる理由なんてどこにもない。 「…わかりました。行きましょう、春日さん」 「……え?」 前へ |次へ |
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