《MUMEI》

「二郎……乙矢がけだものだあ〜……」

半泣きで抱き着いてくる七生には悪いけれど、ちょっとその言い回しは面白い。
けだものて……

「はいはい怖かったね」

宥めすかしてやる。
乙矢にしても七生にしてもウチの子達は酒が入ると厄介だ。

「じろー口直し……」

耳元で言われて咄嗟に突き放す。
……危なかった。
隙を見ては誘惑してくるような男だ。


「……悪い、帰るね。」

苦渋の選択を迫られた。

「えー、帰るの?」

皆、口々に引き止めてくれた。

「つまらなかった?」

東屋が聞いてくる。

楽しいは楽しいんだけれど……限界が二名。

「あれとあれ連れて帰らなきゃいけないから。」

あれ(七生)とあれ(乙矢)を指差す。

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