《MUMEI》
旅路・・
襲撃事件が終わり、数ヶ月が過ぎた。
街ではまだ廃墟も目立つが人々には活気が満ち溢れ、今日も何処かで守護騎士が暴れている。
カラン・・
ドアに着けあるベルが来客を告げる。
「あ、ハンド。生憎、いい品物は無いよ?」
リアムの店に入って来たのは黒いローブを纏ってはいるが、顔を覆うフードは被っていないハンディング。
「ふふ、挨拶に来ただけに過ぎぬよ。」
「やっぱり街を出るの?」
「シレントリアスの森に戻ってみようと思ってな。小さな村が出来ているらしい。」
「そっか。またね、ウーグニル・ディアナ。」
「私は・・いや、我はハンディングだよ、リアム。」
真名を口にするリアムに微笑みを返しながら店を出ようとする。
「そっちの名で生きていくんだね。」
「この名は・・多くの仲間が呼んでくれた名だからな。捨てるに捨てれぬ。」
カラン・・
ベルが音を奏で、静かにドアが閉まった。

「・・・一緒に行っても良い?」
街を出ようとするシンギにレイが声をかける。
「・・お前が嫌でないなら、好きにしろ。」
「えぇ。そうさせてもらうわ。もう・・待っているのは嫌だから。」
「ふん・・」
二人は静かに街を後にした。

リーベルが再び「商業の聖地」と呼ばれるにはそれほどの時間は掛からなかった。
被害者の数は数万に及び、一時は「廃墟」とまで言われたが、皇国やコーリア教国の援助などにより以前の騒々しさを取り戻していた。
それはまた別の物語へと・・受け継がれていく。

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