《MUMEI》

おかしい……深夜回っているじゃないか。
帰って来ないじゃないか。

七生父は七生と連絡したはずなのに。

2時過ぎてる。




着信だ。

「七生!今何処なんだ?!」

『じろーン家の前』

言われて外に出た。
扉開けて直ぐ七生が立っている。
茫然と立ち尽くしていた。

「心配かけて……」

ついて出る言葉は説教臭くなってしまう。
電源を入れっぱなしの携帯を片手に持ったまま目を閉じて、七生が額を合わせてきた。
体温が夜風に当たってひんやりしている。

「あ……帰って来たのね、入りなさいな。」

母さんは物音に気付いて電気を点けた。

「はあい」

七生が気の無い返事をする。

七生は俺にしがみつくように抱きしめる。


それに対して、母さんは特に驚くような動作も無かった。

「お父さんにも聞いているから。家に今日は……?」

母さんは七生に聞く。

「じろーン家……泊まらせて?」

まだ少し、戸惑っているようだ。
母さんではなく、俺に話し掛けている。

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