《MUMEI》 交差点の四つ角にあるお店は お肉屋さん 本屋さん パン屋さん それから… (あれ?) 「咲子さん、あれ、何ですか?」 「ん?」 咲子さんは私の視線の先を見た。 「あぁ、あれね」 信号が変わり、咲子さんはアクセルを踏み、右折した。 丁度、私の目に、店の名前が飛び込んできた。 『シューズクラブ』 (何故、カタカナ?) 私の脳裏に、嫌な顔が浮かんだ。 (『あいつ』、英語全然駄目だったよね) 「あれはね、リニューアルした、『靴の村居』よ」 「あれが?!」 (だってあれ、どう見ても…) 白塗りの壁に、赤いドアが一つだけの外観。 壁に貼られた…よく見えなかったけど、多分、額に入った顔写真。 名前は『シューズクラブ』だが… 靴屋と言うより 「ホストクラブにしか、見えないんですけど…」 私の素直な感想に、咲子さんは笑い出した。 「中に入ったら、もっと驚くわよ」 「行きたくありません」 『あいつ』がいるかもしれないし。 「でも、うちのお得意様なのよね、あの店は」 そう言って、咲子さんは車を駐車場に停めた。 「は?何で?」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |