《MUMEI》

私の答えに何故か双子は目を輝かせた。


「? うん」


「「じゃあ…」」


バターンッ!


「こら、このマセガキ共!」


いきなり咲子さんがどなりこんできた。


「「だって…ママ…」」


「あそこは、お前達には早いって言ったでしょう?
あんまりわがまま言うから小学校入学の時は特別保護者同伴で連れて行ってやったけど…

せめて、中学入学まで待ちなさい!」


(は?)


子供はまだ早い靴屋?


私は、ポカンと口を開けたまま、咲子さんと双子の不思議なやりとりを見つめていた。


どうやら双子は『シューズクラブ』にものすごく行きたいらしい。


『クローバー』で働くと、何故か『シューズクラブ』に行けるようだ。


その理由は、翌日すぐにわかった。


「じゃあ、これ。お願いね」


「はい」


私は、『クローバー』の厨房に立っていた。


高校を卒業してすぐに、私は調理師専門学校に通い、資格をとった。


元々、うちは父子家庭で、料理は子供の頃から好きだった。


しかし、なかなか就職活動がうまくいかず


咲子さんが、喫茶店を経営したのを思い出し、ダメ元で頼んでみたのだった。

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