《MUMEI》

 その笑顔に俺は、怒る気力を失い、取ってきた小皿のうちの1枚に炒飯をよそりキキの目の前に置いた。

 そしてスプーンをキキに渡し
「炒飯はこれで食べるんだぞ!」っと言って手本を見せる。

 キキはその様子を不思議そうに見つめ、俺が分かったか?っと尋ねると目の前の炒飯に目を落としスプーンを使い一生懸命食べ始めた。

 まだ使い難いようでスプーンの持ち方がぎこちない。それでも少しずつ炒飯を口に運び、飲み込んだ後満面の笑みを俺に向ける。

 そんなキキの仕草に俺は、心が暖かくなるのを感じた。

 冷蔵庫からお茶を取り出し、持って来ておいたコップに注ぐ。

 キキは、お茶がコップに注がれる様子をまじまじと見ていた。

 俺がお茶を注いだコップをキキに渡すと、キキは首を横に振り
「いらない!」っと言った。

 俺はキキの言葉に驚き「でも喉乾くだろ?」っと言うとキキはぶんぶんと首を横に振るだけだった。

 まぁいらないならそれでいいけど……っと俺は深く考えず、持って来ていたもう一枚の小皿に俺の分の炒飯をよそる。

 キキはまた炒飯を食べ始めた。炒飯を口に運びながら俺はキキに話しかける。

「キキ、炒飯美味いか?」

 キキはこちらを向き、うん!っと嬉しそうに微笑んだ。

 その光景に俺はクスリと笑いを零す。俺が笑ったのを見てキキもニコリと微笑む。

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