《MUMEI》
元カノの影
「もしかして、詩織さんと来たの?」


モヤモヤが大きくなる前に聞いた。


「うん」


やっぱり!!!


「じゃぁ、梅小路公園も?」


「うん」


やっぱりっ!!!


モヤモヤを大きくしないためにと思って聞いたのに、さらにモヤモヤが大きくなる。


鈴木がここに初めて一緒に来た相手は詩織さんなんだ。
梅小路公園も、きっと他の場所も全部。
京都と山口じゃ、私は常に二番手ってこと!?


仕方がないことだけど、すっごいモヤモヤするっ!!!


「どうした?急に黙って」


「え?別に」


なんとなく鈴木と話す気になれなくなっていた。


「何、その言い方」


私が素っ気ない返事をしたので、鈴木は気に食わないようだ。


「いきなり、そんな態度とられても困るんだけど」


困るも何も、私だって別に・・・


「別に普通にしてるつもりだけどっ」


無意識に私の語気が強くなる。


「え?もしかして怒ってる?」


「怒ってないよ」


なんで勝手に怒ってることにするの!


「明らかに怒ってるだろ!!」


「どこがっ!!!」


二人とも次第にヒートアップして、結局ケンカになってしまった・・・

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