《MUMEI》

「あ、兄貴いるよ!今、店に出てるけど、お客様じきに帰るみたいだから、呼ぼうか?」


「会いたく無いし…
2000円、頂戴」


私は、手を出して、弁当代を請求した。


「まぁまぁ、兄貴もあれから変わったんだ…」


「キャー!!」


(何?)


何か、店の中から女の子達の悲鳴らしきものが…


私は、そっと


事務所から、店に続く扉を開けた。


そこは…


まさに


ホストクラブのような、店内だった。


店内には靴は並べられておらず


あるのは、テーブルとソファーセットが三組と


会計用のレジと


何故か、ガラス張りの


何かの作業スペースだけだった。


そして、私の視線の先には

ソファーに座る女性の足首に唇を当てる


スーツ姿の


『あいつ』


村居 俊彦(としひこ)


がいた。


「彼女が今日の『美脚クイーン』ね」

「あ〜ん、羨ましい! 結構私、今日は自信あったのに」

「私だって」


隣のソファーに座っていた女の子達が、小声で話していた。


「まぁまぁ、俺にとっては、皆クイーンだよ?

さ、そろそろ、駅まで送るよ?」


「「「は〜い!」」」

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