《MUMEI》
突然の告白。
憐の家からの帰り道…私はすごい自己嫌悪…。




“憐…変に思ったかなぁ?”




憐のことが気になりだして、やっと新しい恋に踏み出せると思ってたのに…。




ヨウスケを思い出すとまだ涙が出てくるよ…。




眠気はすっかり覚めちゃったし、今夜も眠れそうにないや…。




昨日、リコすごい酔ってたし、今から誘ったら昨日のグチの続きを聞くことになるかなぁ〜。




でも…1人で居たくないよ…。


きっと一人で居たら、ヨウスケを思い出して泣いてしまうから…。




もう。グチの続きでもいいや。リコに電話しよ。




『プルルルル〜ッッ……留守番電話サービスに接続します…』




こんな時に限って…




とりあえず、“今日ヒマならウチにこない?”とメッセージを残しておいた。




家に着いてからも、なんだか、落ち着かず部屋の大掃除をして気を紛らわせた。




“リコ…留守電聞いてないのかなぁ?”




…ピンポーン♪




あっ。
きっとリコだ。




『はぁ〜い。』




ガチャッ。




『ちゃお。留守電聞いて来ましたよ〜。』




『リコ〜。もう来ないかと思ったよ〜。』




…ん?リコのうしろには昼間、見た顔が…。




『コウタ?』




コウタは、私の驚いた顔を見てゲラゲラ笑いながら




『おう。コンビニに飯買いに行ったら偶然リコに会ってさ。お前んち行くって言うから、ついてきた。』




『ついてきたって…。なんで?…ま〜いいや。とりあえず2人とも入って。』




コウタは大量のお酒とつまみを買ってきていた。




『今夜は飲むぞ。』




『ちょっと〜。私とリコは昨日も遅くまで飲んでたんだからねっ。今日は飲まないよ。』




私は、家で大宴会になるのだけは阻止したかった。




『えぇ〜。昨日は昨日じゃん。なっ?リコ。』




『あったり前。私だって、昨日はこれからって時に、無理矢理タクシー乗せられちゃって。今日は絶対、完全燃焼するよ。』





…2人とも
……勘弁してよ〜。




私の恐れていたことは現実になった…。




2人は散々飲んだ。
リコは昨日と同じ話をまたしてた。
コウタに至っては、泥酔コントのように照明スタンドに向かってずっと話し掛けてる。




『ねぇ?リコ。…コウタかなり酔ってるよ。もうお開きにしよっ。連れて帰ってよ。』




『…うー。ダーリン呼んで…。…私、1人じゃ帰れない……。』




リコもかなり酔ってる。




『…こりゃ。無理だ。』




リコは彼氏におぶられて、眠ったまま帰っていった。



…問題は、なぜか電子レンジに顔を入れたまま眠っているコウタだ。




『ねぇ?コウタ大丈夫?』



『…。』




『1人で帰れる?』




『…。』




…応答なし。




なんとか起こさなくちゃ。このままじゃコウタ泊まってっちゃうよ…。




…よしっ。
私は気合いを入れてコウタを抱き抱えた。




…うわっ。




ドタンッッ。




痛たたたっ。



コウタは私の上に覆い被さってきた。




…そりゃ。無理だよね。
1人で抱え上げられるわけないじゃん。




『…うっ。…うっ?』




コウタは眩しそうに目を開けた…。




『コウタ?良かったぁ。起きた?ちょっと重いから早くどいて。』




『…瑠伊?』




コウタは、完全に寝ぼけた顔で全く動かない。




『ちょっとコウタ?早くどいてってば。』




『…あぁ。…悪りぃ。』




そう言うと、ふらつきながら、私から離れた。




『コウタ大丈夫?かなり酔ってるんじゃない?…私、水持ってくるね。』




『……なぁ。……瑠伊。』



コウタは、うつむいたまま小さな声で私を呼んだ。




『うん?』




私が水を渡すと、コウタは、真っ赤に充血した目で私をジッと見つめ、とても悲しそうに言った…。




『……瑠伊。………俺な。ずっとお前が好きだった…………ヨウスケと付き合う前からずっと………今でもお前のこと…………。』




コウタは私の腕を引っ張り、とても強い力で抱きしめた…。

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