《MUMEI》

いくら…でも


俊彦は『シューズクラブ』の、おそらく店長で


『シューズクラブ』は、『クローバー』のお得意様だ。


ここは、私が大人になるしかない。


私は、覚悟を決めて足を止めた。


俊彦が、ジリジリと近付いてくる。


(うぅ、…恐いよう)


俊彦は、美形だ。


美形だけど…


「会いたかったよ〜

俺のマーメイドちゃ〜ん!」


「よ…」


(やっぱダメ!)


「よるな変態!」


バシッ!!


私は


私の『足』にしがみつこうとする


俊彦を


思い切り


平手で叩いてしまった。


(やっちゃった…)


俊彦の、唯一の取り柄の


綺麗な顔に


くっきりと


私の手形が浮かび上がった。


「…」


俊彦は、頬を押さえて呆然としていたが…


フラフラと、倉庫のような部屋に消えた。


私は、自分の手の平を見つめて固まっていた。


「…」


いつの間にか私の隣に来ていた雅彦も、無言だった。

「? 誰だ?あんた?」


『さばの塩焼き』君が店内に戻ってきた。


「あれ? 今からお昼だから、お店は休憩だろう?」


『ロコモコ』君も、戻ってきてしまった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫