《MUMEI》
キス
鈴木から先に、

「悪かったな」

って言われたことで、自分がすごく打算的な女に思えた。

だから思わず罪悪感を打ち消すように「ごめん」と言ってしまった。


「え?なんでお前が謝るの?」


し、しまった・・・
鈴木の勘違いってことだから私は悪くないんだった。
(本当は悪いけど)


「俺の勘違いって・・・」


そういうの、サラッと流してくれないかなぁ。。。


「先に謝ってもらったから・・・」


って、そんな変な言い訳なんか通じる訳ないよね。



そう思った瞬間、鈴木の表情がパッと明るくなった。


「お互い悪い部分があるのは当然だし、これからは気をつけながら、うまくやって行こうぜ!」


そう言って、一瞬で抱きしめられ軽く唇にキスされた。


キ、キスされたぁー!!!!!


「じゃ、帰るぞ。さっさとメット被って後ろに乗れよ!」


鈴木はすぐにヘルメットを被ってバイクに跨った。


「う、うん」


焦りながらヘルメットを被って、鈴木の後ろに座った。
そして今度は躊躇せず鈴木の背中に抱きついた。
キスの余韻に浸りながら。

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