《MUMEI》
―その人は
「つか、俺らが一緒とか、騒いでくれって言ってるようなもんだよな?」

「迅がいなくて寂しいんでしょ?」


憂音は簡単に言えば、迅みたいな奴だ。飄々としていて、マイペースで、プチお調子者。迅とはいいコンビだった。


「てめ、光、言ったな!?そんな訳ねーだろ!あんなヘタレ馬鹿!」

「迅はへーたーれー。」

鎖神はとにかく現実派。クールで、いつも冷静。
そして、楸は自分の世界にいっつもいる。ほにゃっとしてる奴だ。


個性豊か過ぎるから、喧嘩も多い。


「まーま、とにかくよろしくね。」


この3人をまとめれるのは僕か瀬恋しかいない。


「ったくー。あ、てかさ、瀬恋は?」


僕は憂音に言われて気付き、隣の席を見たら、居なかった。


「情報収集じゃない?」


鎖神に言われて、成る程、と、皆納得した。


瀬恋のことを“詳しく”知っているのは、僕ら5人と、あの娘だけだ。
皆は瀬恋は物知り、情報が早い!とか、そんな風に思っている。


あの娘=彩女って娘なんだけど。瀬恋は彩女ちゃんと仲が良いらしい。
1年の頃クラスは違かったのに、何故か仲良くなっていた。彩女ちゃんは何処小から来たかも分からない。つまり、僕には接点がない。


突然大きな音を立ててガラッと扉が開いたので、皆が肩を強張らせて扉の方へ向くと、

「やっほーい!」

と、瀬恋が入ってきたので、皆の息が抜けた。


「おい、瀬恋ー…。ビビらせんなよー、転入生かと思っ…た…、」


憂音のいつも通りのはっきりとしたお調子口調が、少し聞き取りずらかった。


理由は、“その人”が来たからだ。


静まる教室。
まるで、人なんていなくなったみたいだ。
皆、ただの動かない人形。

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