《MUMEI》 劣等感「私、まだ演技とかの勉強始めたばかりでアドリブとかしたことないですし、今でも口ごもることだってあるんです。それなのに、あんなに台本通りに進んでないのにスラスラ言葉が出てきて自分でもびっくりしてます」 環はとても嬉しそうに話す。何がそんなに嬉しいのかが、流理にはわからなかった。 「それで自分で考えてみたんです。そしたらすぐにわかりました」 「何だったんですか……?」 「流理さんと一緒にいるからに決まってます」 ――声が出て来なかった。 どうしてオレはこんなバカなことで悩んでたんだろう。彼女はこんなに気持ちを伝えてくれていたのに。 「すみません……こんなにオレのこと想ってくれてるのに…気付かなくて」 「いいえ!恋をしているとき、人は不安になるものなんですよ。流理さんも私の不安な気持ち、わかりましたか?」 「え…あっオレ、不安にさせてました……?」 「ハイ。だって……なかなか春日さんの代わりに来てくれないじゃないですか」 「それは……別に環さんに会いたくなかった訳では」 「わかってます。流理さんって春日さんに劣等感、抱いているんですよね?」 「どうして……」 「ふふっびっくりしました?なんで私なんかにわかってるのかって思ったでしょう?春日さんが言ってたんです」 「春日…さんが?」 ――嘘だ。有理が……どうしてオレのことなんか…。 前へ |次へ |
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