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《MUMEI》 俺はいきなりの展開に頭がついていかず、大人になったキキの顔をまじまじと見つめる。 少し丸みを帯びていた輪郭は、モデルのようなシュッとした小顔になっていた。肌は相変わらずきめ細かく白い。閉じられたまぶたに長いまつげ――キキは"可愛い"から"美しい"へと変わっていた。 キキに見とれていると……キキの眉間にシワが入り、ゆっくりとまぶたが開かれた。 「ん……よしち？」 放たれた声には、今までのような無邪気さはなく甘さが混じっていた。 起きようとするキキを俺は慌てて止める。 これだけ体が成長すれば、おそらく着ていた服は見る影もないだろう。 俺はキキから視線をそらし 「大丈夫か……？」っと聞いた。 しかしキキから返事は返って来ない。恐る恐るキキに視線を戻すと、自分の手のひらをまじまじと見つめているようで俺の声は届かなかったようだ。 キキは、ふとんを自分の体に巻きつけて走り出した。 俺は、条件反射でキキを追いかける。 キキは鏡の前で止まり片手で巻きつけた布団を抑え、もう一方の手で顔をペタペタと触っていた。 「何してるんだ……？」っと俺は質問したが、やはりキキには聞こえていないようだ。 「私……大人になれたの！？」 キキは、美しい顔で無邪気に笑った。 前へ |次へ |
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