《MUMEI》
癒してくれる人
朝起きて支度をしていると佐久間が寝ぼけた顔をして起き上がった。


「おはよう。私、今日は仕事だから・・・」


早く帰る支度をして欲しいと遠まわしに言うと、佐久間もピンときたのか動きが早くなる。


そして二人で食パンを食べていると、


「今日は仕事、何時くらいに終わるの?」


佐久間が聞いてきた。


「分からない」


佐久間とは一晩限りにしようと思っていた。
だからあえて、そう答えた。


「じゃぁ、仕事終わったら連絡ちょうだい」


佐久間の言葉に、私は冷たく言う。


「なんで?」





どうせ調子の良いことを言うに決まってる。


「今晩も愛加ちゃんに会いたいから・・・」


やっぱり。


「やりたいだけでしょ?」


ストレートに聞いてみた。


「うん・・・」


佐久間は大真面目な顔をして答えた。


「割り切った関係で良いなら連絡するわ」


私の提案に佐久間は
黙って頷いた。


「分かった。じゃぁ、連絡する」


人肌恋しい私としては、ただ癒してくれる人が欲しかった。

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