《MUMEI》 中途半端な関係「ちょっとぉー。愛加、聞いたわよ。」 千夏がニヤニヤしながら電話越しに言う。 「佐久間さんと良い感じなんだって?」 佐久間とは、あの日から頻繁に会うようになっていた。 「良い感じって・・・そんなんじゃないよ」 私はただ癒して欲しい・・・ 佐久間はやりたいだけ。 そういう割り切った体だけの関係だった。 「でも週の半分は会ってるって高橋さんが言ってたわよ!」 「まぁ・・・結構会ってるかな。」 私は佐久間が高橋にどこまで話しているのかが気になった。 「でも、まだ付き合ってるわけじゃないのよ」 「わかってるって!まぁ、じっくり見極めて今度こそ永遠の愛をGETよ☆」 永遠の愛・・・か・・・ そんなこと言う千夏の様子だと、体だけの関係ということは知らないのだろう。 「そういう千夏は高橋さんとどうなのよ?」 高橋から私のことを聞いてるということは、千夏もうまく行ってるのだろう。 「週末はデートしてるくらいよ。でも高橋さんの気持ちがいまいち分からなくて・・・」 「会ってくれるけど・・・結局どうなの?って感じ?」 「そう!それ。」 今晩の千夏の電話の本題はどうやら高橋さんの話らしい。 「でね、第三者の意見も聞きたいし、今度四人でどこかに行かない?ご飯でもいいし」 四人というのは、私と佐久間を含めてということだ。 「でも、私、週末はなかなか休めないよ・・・美幸のほうがいいんじゃない?」 「美幸と佐久間さんじゃおかしいでしょ!」 そういって千夏は強引に四人で会う許可を私からとった。 前へ |次へ |
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