《MUMEI》
先輩を好きな理由
「ヤーイちゃーん!」

廊下の端から端まで響き渡る叫びだ。
先輩、えーと。変な字の先輩だった……。

「鬼久保っていつから卜部先輩とそんな仲良くなったの?」

白戸に言われて思い出した。そう、卜部先輩だ……。

「白戸とか他の部員がこねーから俺とヤイちゃんは放課後という固い絆で結ばれているのさ!」

最初からの印象だったが、卜部先輩は強引な人だ。

「鬼久保、随分と懐かれたな」

白戸が吹き出した。俺はちっとも面白くない。

「ヤイちゃん可愛いから。バァちゃん家の猫みたいで好きなんよ。
毛並みまでそっくりー」

「ムー……」

頭をクシャクシャするのには先輩の手は大きすぎて俺の瞼に掛かる。

「わあ、ヤイちゃん ムーって鳴いたぁ」

先輩はご機嫌みたいだ。
鳴いたって……俺に人間の尊厳は無いのか?

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