《MUMEI》 危なかった‥帰り道‥。 あたしは、本当に上の空だった。 「‥‥‥‥‥‥‥」 隣りで話しかけられても、肩をつつかれても、全然何も気付かなかった。 「─────つき‥」 「‥‥‥‥‥‥」 「咲月‥!」 「‥!?」 な‥ 何‥っ!? 「わ‥!」 あたしは物凄い力で後ろに引っ張られた。 「危ねーだろ‥何考えてんだ」 「何‥って‥」 「お怪我はありませんか、咲月さん」 「うん‥だいじょぶ‥」 な訳ないか‥。 危なかった‥。 「立てるか‥?」 「あ、ありがと來斗‥」 「気ぃ付けろよ、あの怪物はぶつかったら怪我どころじゃ済まねーんだからな」 「うん‥」 怪物‥っていうのは車の事。 確かにタンクローリーはそれっぽいかもね‥。 「───ほな、また明日な」 「それでは咲月さん、來斗くん、さようなら」 「うん、バイバイ」 前へ |次へ |
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