《MUMEI》
一安心
「あの〜、私、明日も来てもいいんですか?」


クビじゃないんだろか?


「何言ってるの! これからもどんどん働いてもらうわよ!」


咲子さんは私の不安を笑い飛ばしてくれた。


「それに!」


?


咲子さんは、胸を張って言った。


「俊君のマーメイドちゃんをクビにしたら、それこそ『シューズクラブ』と縁が切れちゃうわよ!

そっちの方が、大打撃だわ!」


「はぁ…」


(大打撃って…)


「たった四人の弁当でも、貴重な収入源ですけど…

大袈裟すぎませんか?」


「甘いわよ! 蝶子ちゃん!」


?


私が咲子さんに『何が』と訊こうとした時。


カランカラン


入口のベルが鳴った。


「「いらっしゃいませ」」

私と咲子さんは反射的に営業スマイルを作って挨拶をした。


(仕事仕事)


私は慌てて食器を片付けて、厨房に入った。


そして、私は咲子さんの言葉の意味を理解した。


この時間帯のお客様はほとんどが女性で、聞こえてくる会話の内容から、彼女達が『シューズクラブ』のお客様だという事がわかったからだ。


彼女達わざわざ『クローバー』まで足を運ぶには、理由があった


その目的は…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫