《MUMEI》
忘れ物
「会いたい」とか調子の良いことを言いながら、結局タツヤ君と飲むんじゃん!
本当に会いたいなら、自分が来れば良いのに!


プリプリ怒りながらお風呂に入っていると、携帯の鳴っている音がする。


鈴木かも!?


そう思って濡れた裸のまま洗面所に置いた携帯を手に取る。


「もしもし!」


「えらい元気がえぇなぁ〜」


なんだ・・・リナさんか。


「もしかして鈴木君かと思った???」


大当たり


「リナさんとは思わなかった。で、どうしたの?」


ガッカリした分、声のトーンも下がる。


「うわっ。やる気ない声!?ビックリするわぁー!!」


リナさんは相変わらず突っ込みを入れてくる。


ていうか・・・私、濡れた裸で立ってるんだから早く本題を話してよね(イラ


なんて言えないので、とりあえず甘えて聞いてみる。


「リナさんの話聞きたいなぁ〜。教えて!」


「ほんまに思うてる?ま、いいわ。今日なバイトの更衣室で美樹子さんの財布が落ちてたから、その連絡」


ゲッ!!


急いでバッグの中を探るとたしかにない。


「あれっ?ないっ、財布ないよ!えぇー」


思いがけない知らせに焦って財布を捜し続ける。


「ないに決まってるやん。だって私が持ってるもん」


「それ本当に私の財布???」


疑っても仕方ないのに聞いてみる。


「だって免許証があったし。不細工な顔してるやつな。間違いない!」


「不細工は余計!!」

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