《MUMEI》
―仲良し?
「そっ…か。ま、いいや。よろしく、蓮くん。」

「うん。」


まるで何事もなかったようだった。
重い空気だけが、何かが起こったことを示していた。

キーンコーンカーンコーン

チャイムは、空気を読めない。

扉がカラカラとなった。
芹禾が意外なことに、妙な空気に気付いた。


「ん、なした?あ、来たの?じゃあ自己紹介とかしてくれない?」

「…もうした。」

「あ、そうなんだ。じゃあ席も分かるみたいだし、授業するから皆席着けー。」


芹禾は、割とマシな人間かもしれない。

でも、今はそれよりも、瀬恋が気になった。


「瀬恋…、大丈夫?何か、深刻そうだった。」

「ん。別にたいしたことじゃないよ。ありがと。」


瀬恋はいつも通りの表情をしていた。


“入って来るな”と言われた気分だった。

その後、授業は普通に再開し、その間はなんだか緊張した空気が流れた。
皆、瀬恋の表情から何かを感じたようだ。


「じゃー、おしまい。後ろからアンケート回収して、出した人から休み時間。じゃ、そーゆーことで。」


芹禾はさっきのことには触れずに、のんびりと黒い空気の場所から出ていった。

「なーなー、かたくなるのは止めようぜ?さっきのはこの2人の問題だろ?俺らが首突っ込む必要もないし、突っ込んじゃダメだろーよ。」

「そーだーよー。」


憂音と楸が、皆を安心させようとした。流石憂音だ。

「ちわーす!斬雨いる?」


…馬鹿迅!


「ああ、迅。どしたの?」


僕は軽く話しかけた。
空気を読まない迅はムカつくが、これを機に皆がいつも通りになればそれはそれでいいと思った。


「んー、てか、この空気何?そんなに俺らの会話聞きたいの?」

迅がにやりとして言った。
「…誰がお前みたいな年中お気楽人の会話を聞きたがる?」

「ひがいもーそー。」

ズバリといきました。
鎖神と楸の連携コンビ。


「うっせ、ガチガチ眼鏡!行くぞ、斬雨!」

「あー、はいはい。」

「…低脳だな、相変わらず。」

「がーきー。」


静まれ!辛口コンビ!


「フンっ。俺は大人になったぜ!」

「…早く行こうよ、迅。」


このままでは、喧嘩になりかねない。これでも一応、皆仲良しのはずなのだが。

緊張した教室を出て、迅に手を引っ張られた。
迅が愚痴を零している。
何処へ行くんだろうか。


―空は、曇っていた。


なんか、まいったなぁ。
転入生、蓮には。

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