《MUMEI》
旅人と困ったシスターの出会い
「ようやく着いた。」
リーベルの街の東門を前に大きくため息をついてる青年が一人。
1年前、リーベルの街を襲った事件。
復興するには数年・・そう言われていたが、今現在の段階で以前よりも活気に満ち溢れているように見える。
「んで・・確か守護騎士団の詰め所だったよな。」
街に入りながらキョロキョロと周りを見渡す。
「いや、ヒト居すぎだし!!」
思わず虚空に向かって突っ込んでしまった。
誰かに道を聞けばいい。だが・・ヒトが多すぎて誰に聞こうか迷う。
「いきなりナイスな突っ込みだね。「ヒト居すぎだし!」とか。」
どうやら・・聞かれていたらしい。
「あ〜・・あんたで良いや。守護騎士団の詰め所って何処だ?」
声の主は・・濃紺の僧服に身を包んだ修道女だろうか?
「・・・なんかムカツク!ヒトに物を頼む態度じゃ無いでしょ!!」
「悪かったな・・守護騎士団の詰め所に行きたいんだが、道を教えてくれませんか?これで文句無いだろ?」
「性格悪いって言われるでしょ?」
「余計なお世話だ。」
「はいはい。んじゃ案内してあげる。迷子に道を教えるのもシスターの務めだからね。」
変なのに捕まったようだ。
「あ、そういえばキミ名前は?」
「神守 斎(カミモリサイ)だ。アンタは?」
「エミ・シューゲルだけど・・神守?」
「姉貴を知ってるのか?」
「姉貴・・やっぱ彩の家族?」
「あぁ、最悪な事にそうなんだよ。」
神守 彩詩、ここリーベルの守護騎士団の団長にして、ネスフェリン皇国や神聖コーリア教国などから「ヴァルキリー」の称号を貰っている騎士だ。
「ヴァルキリー」の称号は半端な将軍職よりも扱いが良いらしいが、あの姉貴がソコまでの称号を貰った意味が解らん。
前を歩くエミもどうやら姉貴の知り合いらしいが・・・
「へ〜弟君なんだ。あの彩の弟か〜・・」
どうにも引っかかる。
「なぁ。」
「ナニ、彩弟?」
「どんな呼び方だよ・・」
「ぇ・・ダメ?」
・・・迷子になって居るのが気のせいだと良いのだが不安になってくる。
「道に迷ったんだろ?」
「・・・マヨッテナイヨ?」
「なんで片言になるんだよ。」
「キニシナイ、キニシナイ〜」
滅茶苦茶気になる。
てかさっきもココ通ったぞ?
「・・・・」
「キニシナイ〜キニシナイ〜マヨッテナンカナイヨ〜♪」
頭が痛くなってきた。
到着初日からどうやら・・最悪の相手を引いたらしい。

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