《MUMEI》 『さばの塩焼き』君私が返事をする前に 「で、あっちが、幼なじみの井上孝太(いのうえこうた)。 あいつも同い年だから」 『ロコモコ』君― 和馬…さんは 『さばの塩焼き』君― 孝太さんを紹介した。 「よ、よろしくお願いします」 私は、二人にそれぞれ頭を下げた。 孝太さんは無言で私に頭を下げ、咲子さんからもらった冷酒をチビチビと飲んでいた。 和馬さんは、二杯目の生中をグイグイ飲んでいる。 (何か…対照的な二人だなぁ) 私は、真ん中で、カルアミルクを飲んでいた。 「孝太さんも、東京で俊彦に会ったんですか?」 (まさか、この人もホストじゃないよね) 「俺はホストじゃないぞ」 「…ですよね」 私の考えを読んだかのような孝太さんの発言に、私は苦笑しながら答えた。 「こう見えて、こいつ。 東大卒なの」 『こう見えて』 そう、和馬さんは言ったが …どう見ても、孝太さんは優等生タイプだった。 だから、私は 「ホストよりは、納得しました」 と、正直な意見を述べた。 何だか二人は私を見て、驚いたような顔をしていた。 前へ |次へ |
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