《MUMEI》

髪を乾かしてテレビを見ていたら、ドアをドンドンと叩く音がした。


この、酔っ払いが・・・


「はいはい。すぐに出ますよ」


そう言いながらドアを開けると、鈴木が満面の笑みで抱きついてきた。


キャッ。
そんな玄関先で・・・
ていうか、


「酒くさっ!」


そんな私の言葉なんて無視して鈴木が部屋の中に入ってくる。


「今日もたくさん飲んだー」


鈴木はとてもご機嫌だ。


「お酒飲まないでねって言ったのに・・・それより私の財布は?」


鈴木はベッドの上に横になっている。


「俺のバッグの中。勝手に取っていいよー」


言われたまま、ベッドの横に置いてあるバッグの中から財布を取り出す。


「あった、あった。もうなんで忘れちゃったんだろ?」


そう言いながらベッドの横に立ち上がると、急に腕を引っ張られた。


え?


ドサッ。


ベッドの上に中途半端に倒れこんだ。


う、うわっ。
鈴木の上に!?


そう思った瞬間、上下が逆転して鈴木が私の上に乗ってキスをした・・・

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