《MUMEI》

帰りのバスも、今乗ってるJRでまでも佳代が隣に座った。

『篠崎の話はもう簡便っっ。』

「…なんか運命だよね〜。」

『前も言ってたね。学童と何か関係あるの?…忘れてる事が多くて。』


また運命って言う。

昨日錯覚した何かを確かめたい気持ちが込み上げてくる。


「関係は…。一葉は何を覚えてる?」

『ん〜。まずはきゅうり食べて吐いた事かな。スイカもメロンも虫っぽかった。』

「そこから嫌いなったもんえ(笑)あとは?」

『さつきやサユとはよく遊んでた♪さつきなんてほぼ毎日一緒に帰ったし。孝太も変わらないよね(笑)あと…。あれ?他に一緒に居たのって誰だったろ?名前…』


居たはずなんだ。

夢の中で見るみたいに、誰かが居るんだけどその全体が霞んでて…影みたいで…

浮かんでは消える。

…繋がらない、音もない。


て言うか…



怖い…!



『呼んだ?』


「わ、さつきっ。」

「…さつき。」

『学童の話してんの?過去を振り返るのは現在(いま)に満足してないからなんだってさ。止めなよ、若いのに(笑)』

「…毎日楽しいもん。でもいいや。」

「ごめんさつき。」

『一葉、席替わって。菜緒子んとこ行って♪』

「はぁ〜い。」


何を喋ったんだろう。


『なんか覚えてた?』

「ん、思い出そうとしてた。」

『あの二人の事?』

「うん、よく遊んでたメンバーが誰だったかってね。」


はぁ…。


『…じゃあ佳代はもうわかってるんでしょ?篠崎の事。サユもたぶん気付いてるよ。』

「まぁね。アタシはクラス発表の時から勘繰ってたよ。本人は何か言ってた?」

『そう…。篠崎は気付かれてるってわかってるよ。』

「そうなんだ?アタシが一葉にあれ以上続けてたらどうしてた?」

『続ける気だったんじゃない?だから止めさせに来た。』

「どうして?一葉には知る権利があるもん。」

『知ってどうするの?…どうにもならないじゃん。』

「違う、さつきは分かってない!」

『…なにそれ。』


分かってないだって。

あたしだって必死で乗り越えたのに。


「ごめん、そうじゃなくて…。」

『あたしは良いよ。一葉には言わないで。』

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