《MUMEI》

   〜麗羅視点〜


心配してわざわざ戻って来てくれた歩の優しさも気遣いも全てが嬉しかった。


私には、歩がついてるんだなって心強く思えた。

でもまだ歩に甘える訳にはいかないんだ・・・。


まだ栄実のために私が出来ることは残されているはずだから――。

でも、もし1人で頑張れなくなった時は少しでいい・・・少しでいいから歩の力を貸してね?


そんな私の我が儘を歩は満面の笑みで受け止めてくれた。


そんな歩を見ると、さっきまでネガティブ思考だった私もまた頑張ろうって思えるの。

そんな風に人を元気づけられる歩は凄いなって思った。


私が、歩だったら上手に栄実を元気づけられてたのかな・・・?


そんなネガティブな思考に私は首を横に振る。


ううん。私だからこそ栄実を元気にさせる方法があるはず――!

そう思わせてくれたのは他でもない歩の存在だった。


いきなり首を横に振りだした私を心配して歩は私の顔を覗きこむ。


本当に歩は・・・いい人だね!


「ありがとう」

本当に――。何回感謝しても足りないぐらいだけど、私はその気持ちを言葉にした。

歩の優しさや気遣いに対して――そして歩が存在していることに対して。

歩は私の言葉に、えっ?っという顔をしたので

「何でもないよ」っと私は満面の笑みを歩に向けた。

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