《MUMEI》

それでも炎が燃ゆる間は、何度も何度も願い続けた。


この思いが届くように。


風が吹き荒れ、炎を揺さぶる。

ざわめきだす雑木林の緑が儚く美しい。

野良猫が1度こちらを見て足早に消えていく。

電波塔の脇に止まる白いバン。

お墓参りに来ている老夫婦。

あなたを打ち抜いた手斧が投棄された林緑の奥、願いを熨せた炎が真っ直ぐに伸びていく。

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