《MUMEI》 視界から消えていく全てのモノに、光りを照らすモノは何もなかった。 見覚えのある道。 商店街を抜けて中学校のある通りを走る。 沈黙と会話を繰り返し、大きなカーブの先にこれからを予感させる様なシルエット。 そびえていた。 その建物は褐色を帯びていた。 何度か見た事はあった。 無縁なオレは今までそこを通り過ぎてきた。 機械的に、必然の様に車は建物に近づいていく。 警察署がオレの眼前を支配した。 車を降りると直ぐに中に案内され、簡素で味気ない作りの廊下を進んだ。 前へ |次へ |
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