《MUMEI》 エレベーターに乗り連れてこられたのは、物々しい鉄扉が連なる取調室だった。 ほんの何時間か前までは、オレは自分の寝室で寝ていた。 彼女の送別会、労いの言葉なんかをしきりに考えてた。 しょうもなく、無尽蔵にある愛と平和の日々をただ、ただ無駄づかいしてきた。 その引きがねは一瞬だ。 そんな事はわかっているつもりだった。 オレは6人家族で、祖父母と両親、兄がいた。 いたのだ。 祖母は2年前に、祖父は9ヶ月前に亡くなった。 心は、出口のない暗い森をさ迷った。 無傷では出られない、深淵に続く深い森だ。 光は届かない。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |