《MUMEI》 母を最初に発見したのは兄だった。 兄は精神を患っている。 心が負に侵食される病だ。 覚えている限りでは、オレが小学4年くらいから侵食されはじめていた。 それから随分色々あった。 幼いオレはオレなりに随分考えたし、随分戦った。 母もまた、戦い続けたと思う。 ここでは、兄の事は詳しく述べない。 兄もまた被害者であり、純粋すぎるがゆえに刺々しい現実が心を侵食させたのだと思う。 あの朝、高熱を出し寝ていると言われていた母を心配し、仕事に出たまま戻らない父に不安になり、兄は2階にある両親の部屋に入ったという。 純粋に母を心配し。 その時の兄の気持ちを思うと息苦しくなる。 前へ |次へ |
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