《MUMEI》

それは最愛なる父、
それは光や希望など目に見える生きた力、
それは本当の日常、
アパートを出てからの何時間、ひたすら失い続け、ひたすら現実なす残酷さが増していく。

警察署との往復が続く。

重い空気を吸いつづける。
取調室にも慣れた。

母の葬儀の予定もついた。

以前、行方のわからぬ父。

精神世界と戦う兄。

残された多額な負債。
実家と自営先の整理。
慟哭と渇望の果て、全ての窓口になったオレ。
生き続ける不安が何度もよぎった。

か細い命の火は尽きる。

ギリギリ、壊れない様に自分を保つ。

生きなければ、と。

そしてその日、在りし日の母の笑顔を思い出し泣いた。

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