《MUMEI》

まだ、雪の残る朝、警察官との実況検分が行われた。

あれ以来、実家を見るのはこの日がはじめてだった。

テレビドラマやニュースで見た風景と同じだった。
家の周りには黄色いビニールテープがはられ立ち入り禁止になっていた。
玄関前にはブルーシート。

そして、10名程の捜査官が家を囲んでいた。

忘れない。

光景は目に焼き付いた。

見慣れた実家の全てが命をなくし、黒く干からびた面持ちでいた。
玄関の前で捜査官に写真を撮られる。
捜査協力を許可する為に書類にサインをする。

玄関の開く音はかわらない。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫