《MUMEI》 ただ静まりかえった家の中は、知り得る生の鼓動・ひかり等は微塵もなかった。 どす黒い空間に飲み込まれる様、捜査官とオレは順に家に上がった。 祖父母の部屋にはお正月に使ったのであろう縄飾りや、装飾の諸々が片されずに置かれていた。 仏壇には見守る様に祖父母の写真。 両親は共働きだったので、祖父母にも良く甘えたものだった。 軽く仏壇に手を合わせ、促される様に2階に上がった。 2階にはオレの部屋と、父と母が使う寝室があった。 最後に母が発見されたのも、この寝室だった。 覚悟を決め、両親の部屋に入る。 見慣れた部屋から母との思い出がこぼれ落ちた。 前へ |次へ |
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